体臭のしみついたシュラフにもぐりこみ
一畳にも満たない閉じられた空間で
胎児のように手足をのばす
薄いナイロンを隔て世界を二分し
漆黒の闇に飲まれたブッシュで
深い安らぎを得る
文明の利器に火をともし
明日の行程を確認し終えると
ロシアの文豪やドイツの詩人
日本の作家の言葉をむさぼる
月は沈黙を保ち
星々がささやく
草木はざわめき
動物達が徘徊する
外界のつぶやきに耳をすませ
紙のすきまから啓示を読み取り
無意識の井戸へゆっくりと落ちてゆく
そしてブッシュが静まりかえる頃
とろとろと深い眠りがおとずれる